春よ来い

(70代女性)

ようやく春がやってきた。外ではスズメがさえずり、ふきのとうが雪の中から頭を出して食卓に春の香りを運んでくれる。

テレビではシカの話題がしきり。シカに皮をはぎとられて、周りの木々は無惨な姿になっている。シカにリンゴやイチゴを食べられて農家の人は大弱り。シカの胃は四つに分かれ、反すうしながら毒草以外は何でも食べることができる。森林は枯れ果て、低木も草も落葉さえも食べられて、地表はむき出しになってしまった。

野生動物の保護をうたっていた政府も、食害の深刻化を受け増えすぎたシカを減らす方向へかじを切った。シカの天敵であるオオカミの復活説もある。シカにとっては、まさに受難の「春」になってしまった。シカの駆除の現場を見ると悲しくなる。野生動物と人間が平和的に住み分ける道を探したい。

(2014年4月6日発行つのぶえ掲載)